1974年に発行された通販カタログ。

「Whole Earth Epilog(ホールアース・エピローグ)」これは今から46年前に発行された320ページ物の通販カタログです。
Whole Earth Catalogという1968年から発刊されていたカタログの最終号になります。
名前の通り、地球上の全てのモノを扱うカタログですが、編集者のスチュアート・ブランド(アメリカの作家・編集者)を中心としたWhole Earth Catalogのコンセプトに合ったものだけが掲載されています。
今で言うセレクトショップの通販カタログのような物です。
そのコンセプトは、この4つです。
1:Useful as a tool(役に立つツールであること)
2:Relevant to independent education(自立教育に関連していること)
3:High quality or low cost(高品質、または低価格であること)
4:Easily available by mail(メールオーダーで簡単に手に入ること)
中を開くと、まるで百科事典のように様々なアイテムや書籍の情報がギッシリと詰め込まれています。
釣り道具や仕掛けの方法など。
ハンドメイド石けんの作り方。
日本の伝統的な陶器の「楽焼」の書籍まで載っています。
こんな具合に、写真やイラスト・図解を交えながらモノや書籍を詳しく紹介していて、気に入ればメールオーダー出来るという、約50年前のAmazonのような感じです。
内容は本当にたくさんのアイテムで埋め尽くされています。
もちろん当時は一般的にパソコンなど普及していない時代なので、全てタイプライターとポラロイド写真等の切り貼りという、気が遠くなりそうな作業で作られています。
ちなみに私はこのカタログを20年くらい前にオークションで入手しました。(もちろんボロボロです)
Whole Earth Catalogを知らなかった方も、この最終号Whole Earth Epilogの背表紙に書かれた言葉は、ほとんどの方が知っているのではないでしょうか?
「Stay hungry. Stay foolish.」
Appleの創業者スティーブ・ジョブズが、2005年にスタンフォード大学の卒業式に招かれ、若き卒業生達に向けた際の名スピーチを締めくくった言葉です。
彼はスピーチの中で、こう語っています。
【私が若い時、ホールアースカタログという素晴らしい本に出会いました。それは私の時代の聖書のような本でした。スチュアート・ブランドという男性の本で、詩的なタッチと躍動感に溢れていました。パソコンが普及する前の1960年代の発行物なので、全てがタイプライターとハサミ、ポラロイドカメラの写真で作られていて、Googleのペーパーバック版と言えるものです。Googleが誕生する35年も前に書かれたものです。
~中略~
最終号の背表紙には、朝早い時間の田舎の道が写っています。あなたが冒険好きなら、ヒッチハイクをする際に誰もが目にするような風景です。その写真の下には「Stay hungry. Stay foolish.」と書かれていました。それは作者の最後のメッセージでした。
「Stay hungry. Stay foolish.」
私自身、常にそうありたいと思っています。そして卒業して新しい人生を歩んでいくあなた達も、そうであってほしい。
「Stay hungry. Stay foolish.」】
ちなみに、このスタンフォード大学のジョブズの名スピーチですが、YouTubeのスタンフォード大学公式(と思われる)チャンネルにも、その時のスピーチの映像があるのですが、スピーチ開始後~2分位までの間に日本語訳が、全て関西弁で訳されています。。。
https://www.youtube.com/watch?v=UF8uR6Z6KLc
「めっちゃ頭ええ大学の卒業式に呼んでもうて、ほんまおおきに」から始まる関西弁の訳は、どんな経緯でこうなったのかは分かりませんが、とても面白いので、お暇なときに是非。
以上、今のEC全盛の時代から約50年も前の、熱くて素晴らしいカタログのご紹介でした。